マザー症候群

 片や波斗。
 泣きじゃくる道瑠を見て、感情に流されたのではないかと、暫し冷静に。
 (いいのか。感情に負けてしまって)
 (いいんだ。あれでいいんだ)
 (お袋はどうするんだ。あんなに反対してるのに。説得出来るのか)
 (出来そうにない)
 (じゃ、どうするんだ)
 (たとえ、お袋が反対しても。結婚するしかない)
 (それでいいのか)
 (それしかない)
 感情に流されがちな自分が、理性を持つもう一人の自分を納得させる。
 「嬉しい波斗。うち、いい妻になってみせるから。絶対になってみせるから。なっ、絶対に」
 二人は座ったままで抱き合っていた。
 道瑠の目からは、先ほどの涙と違った涙が頬から光って落ちた。


 
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