言わなきゃわからない?
江藤課長の向かいに栄さんとあたしが並んで座る。
え…っと。
あたしもまざっていいのだろうか。
いまいちよくわからず。
あたしはミーティングルームにいた。


「相田に、栄の担当してるとこメインでサポートしてほしい」

「…え、あ。はい」


よくわからない。
あたしはもともと、栄さんのチームの事務サポートをしている。
だから栄さんが担当している取引先の事務処理はしている。


「相田さんに全部やってほしいってことなんだけど」


栄さんが江藤課長のフォローをする。


「いまは担当制じゃないだろ」

「はい」

「それを相田さんに全部巻き取ってほしい」

「他のひとにはさせないってことですよね」

「そういうこと」


事務チームは営業担当のエリアでチームわけをしている。
そのエリアの仕事は、営業担当関係なく処理をしていた。
それを、あたしは栄さん専属になるってこと。


「江藤さんは担当制を置きたくないって…」

「その考えは変わらない」


その人しかわからない仕事を作るなという考えのため、今まで担当制にしていなかった。
フレキシブルに。
オールマイティーに。
そのときに、その仕事に適している人が対応する。
そうすることによって、レベルが均一化される。
あたしもこの考えには賛同していた。
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