好きになってよ、王子様。
慌ただしい感情
考えたみたら、男の子とふたりで遊ぶのなんて初めてかもしれない。
記憶を遡ってもそんな経験はなかった。
そのせいでなぜか緊張してしまう私がいる。
美波にこの日のことを話したら心配してくれたけど、私が川島くんのことで前に進みたいということを伝えたら応援してくれた。
彼女がいる人を想っているのもやめた方が、川島くんの迷惑にもならないし。
そして今日は植村くんと遊ぶ日。
遊園地に行くことになったから、ポニーテールで髪をまとめて黒いキャップをかぶり、白いトップスにデニムスカートで靴はスニーカーとカジュアルな感じ。
待ち合わせの駅に向かっていると、私服姿の植村くんらしき人物を発見した。
近づいてみると、あっちも私に気づいたみたいで手を振ってくる。
「星奈ちゃん!」
私の目の前まで駆け寄ってきて、すぐに笑顔を向けられた。
「ごめんね、待たせちゃったかな?」
「いや、俺が楽しみで眠れなかったから早く着いただけだし気にしないで」
「ありがとう」