あなたに捧げる不機嫌な口付け
いかにも面倒臭そうな、たそがれた感じに辟易する。
どうしたの、何に拘ってるの。
……ああ、もしかして。
思いつきをまさかと笑い飛ばしたくなったけど、これ以外に諏訪さんが不機嫌な理由なんて見つからない。
「ご飯のためっていうのが嫌だったの?」
ないがしろにされたとでも思ったのだろうか。
そんなことはないんだけど、早く諏訪さんとご飯食べたかったんだよ。
私の問いかけには答えないで、諏訪さんは不機嫌な声で短く言った。
「恭介」
「は?」
それはまあ、あなたは恭介さんですけど。
無反応な私に焦れたように、再び。
「恭介」
ああつまり、さん、はいらない、と。
やっと理解して、でも、と無感動に首を振る。
「恭介さん、が限度」
敬称を外す気はなかった。呼び捨ては嫌だ。
この境界を、この一線を越えるつもりはない。
「恭介」
「恭介さん。これ以上粘るのはやめてくれると嬉しいかな」
「……うん」
少し眉を寄せた諏訪さんは、なあ、いいよな。と。
普段は避けている、珍しく荒い口調で宣言した。
主語なんて丸無視して、こちらを見据える。
「よくない」
嫌だとはっきり言ったにもかかわらず。
「……誰も、見てないから」
「見てるって。というか見えるって。ねえ、恭介さ」
腹いせのように、彼は噛みつくキスをした。
どうしたの、何に拘ってるの。
……ああ、もしかして。
思いつきをまさかと笑い飛ばしたくなったけど、これ以外に諏訪さんが不機嫌な理由なんて見つからない。
「ご飯のためっていうのが嫌だったの?」
ないがしろにされたとでも思ったのだろうか。
そんなことはないんだけど、早く諏訪さんとご飯食べたかったんだよ。
私の問いかけには答えないで、諏訪さんは不機嫌な声で短く言った。
「恭介」
「は?」
それはまあ、あなたは恭介さんですけど。
無反応な私に焦れたように、再び。
「恭介」
ああつまり、さん、はいらない、と。
やっと理解して、でも、と無感動に首を振る。
「恭介さん、が限度」
敬称を外す気はなかった。呼び捨ては嫌だ。
この境界を、この一線を越えるつもりはない。
「恭介」
「恭介さん。これ以上粘るのはやめてくれると嬉しいかな」
「……うん」
少し眉を寄せた諏訪さんは、なあ、いいよな。と。
普段は避けている、珍しく荒い口調で宣言した。
主語なんて丸無視して、こちらを見据える。
「よくない」
嫌だとはっきり言ったにもかかわらず。
「……誰も、見てないから」
「見てるって。というか見えるって。ねえ、恭介さ」
腹いせのように、彼は噛みつくキスをした。