あなたに捧げる不機嫌な口付け
「何か理由あるの? 祐里恵って積極的に使うほど甘いもの好きだった?」

「たまたま。なんか体によさそうだったから買ったら甘かった」


リップクリームが切れてしまって、とりあえず慌てて買ってすぐに塗って。


甘い香りに、ん? ってなってよくパッケージを見直したら、香りつき! と右上の方に書いてあったのだ。


保湿効果が高いとも書いてあったので、まあそんなに高値でもないしいいや、と使っているんだけど。


肌が弱いわけではないから、その辺りが大雑把な自覚は結構ある。


「祐里恵って変なところで適当だよね」


そうかな、と言った私の唇を恭介さんが唐突に奪った。


「……何するの」


恨めしく見遣る私に、恭介さんは抜け抜けと言った。


「味気になって」

「味!?」


何、それは。アホか。アホなのか。


変態なのか!
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