田舎へ行こう! ~彼女の田舎の冬~
外に出ると、一面の銀世界だった。
一晩でこんなに降ったのだろうか。

今は雪が降り止んでいて、太陽が反射して目が痛い。

声も無く立ち止まっていると、奈央先輩が顔を覗き込んできた。

「眩しい?サングラスか、ゴーグル使う?」

「えっと、すぐ慣れると思います。」

「じゃ、守とあっちの方ヨロシクね。」

そう言って、人間でも運べてしまいそうな大きな除雪器具を渡される。
通称ママさんダンプと言うらしく、テコの原理で楽に重たい雪を運ぶスコップらしい。

守に指示されるまま、何十回雪の塊を運んだろうか。

足腰はガクガク、腕はブルブル、汗はビッシャリだった。

「お疲れ様!休憩だよ~!」

家に入るなり、渡された水を飲み干し、やっと人心地ついた。

汗だくをどうしようかと思ったら、守に風呂場に拉致られる。

「別々に入ってたら汗冷えて風邪引くから。」

そう言われ、何故か昨日会ったばかりの男と二人、湯槽に浸かっていた。

「手足震えて使いもんにならないだろ?
大人しく洗われてな。」

いや、これ、何の羞恥プレイですか、って遠慮したいけど、手足が使い物にならない位疲れ切ってるのは確かだし、昨夜風呂に入ってなかったから洗いたいのもあったし。

ま、王様にでもなったつもりで洗われてやる事にした。

うむ、苦しゅうない。(赤面)

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