田舎へ行こう! ~彼女の田舎の冬~
サッパリして出ると、着替えが二人分、一式用意されていてそれを着る。

新品の下着は買い置きされていたもののようで、守とお揃いなのが不満だったが、自分の鞄を取りにも行けず、仕方なくお揃いで我慢する。

しかも、置かれていたスエットは色違いで、まるで双子か兄弟のようだった。

「こういう所で、弟扱いされてるって感じるんだよなぁ。」

守がボヤクように呟いている。

まあ、同感だな。

仕事でも姉のように先回りして俺のフォローしてるな、って感じていた。

いつまでも一人前と見なしてくれてない様で、悔しさは感じていたんだよな。

「饅頭食べて。糖分補給しなよ。」

ソファーに腰を下ろすと、どっと疲れが出て動けなくなる。

のろのろと饅頭を食べ、緑茶を飲む。

細胞レベルから甘味を歓迎しているのが分かる気がした。

今まで24年間生きて来たけど、こんなにも体を酷使した事があったろうか?

運動部に入った事もなかったので、登山遠足とかが最高に苦しい思い出だった。

でも今日の雪かきの方が何倍も辛く苦しかった。

どんどんと雪が減ってきれいになっていく喜びはあったが、泥のなかに浸かって行くような疲れが蓄積された。

守を見ると、そこまで疲れてはいない様で、犬と遊んでいた。

「佐東君、雪かきどうだった?」

「疲れました……。」

「頑張ったものね。お昼寝する?」

「……。お父さんとお兄さんは?」

「仕事だよ。夜には帰ってくる。守も昼寝する?」

「そうだなぁ。奈央ちゃん、一緒に寝てくれる?」

「良いよ~。お昼食べたら、三人で寝ようか。」

ええ?三人でお昼寝?!
大丈夫か、それ!!

奈央先輩の頭の中の俺達は完全に小さい弟か、犬猫の扱いなんだろうかと心配になった。
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