王子様たちのシンデレラ(仮)
「ちょっと落ち着きなよ二人とも……あれ、彩羽ちゃんもしかしてメイクとか興味あるの?」




蒼先輩がふと本棚を見てつぶやいた。




「あ……まあ。」




本棚にはヘアメイク系の本や雑誌がずらりと並んでいる。




「お母さんの影響?」




「……はい。小さい頃からお母さんの仕事にあこがれがあって」




「そっか……彩さんも腕のいいヘアメイクさんだもんね」




そう。あたしのお母さんは数々の芸能人のヘアメイクの仕事をしている。


美月さんや社長ともきっと仕事繋がりだろうな。




「お父さんみたいな映画監督になることは考えなかったの?」




「あたしには向いてないし……髪の毛いじるのとかも好きなんで」




「たしかに、彩羽っていつも髪型違うかも」




いつの間に話を聞いていたのか、陽太が後ろからポニーテールを優しく触った。




「飽きないし、研究してるのも楽しいから」




「へえ……でもさ、髪の毛の量多くね?」




それはまさしく、遺伝というやつだ。




「お母さんも多いんだもん、仕方ないんだよ」




「くせっ毛も遺伝?」




「そう」

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