捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~

まさかメデュールが、私の居場所を見つけてくれてたなんて……。

ランスの直感といいメデュールの能力といい、様々な奇跡が重なって、私が何事もなくここにいられることを実感する。

その奇跡がなければ、今頃私は……。

恐怖と安心と入り混じり、身体がぶるりと震えた。


「もう疲れただろう?話はこれくらいにして、今日はこのままゆっくり休むといい。詳しくは明日だ」

「え?でも……ランスはどこで寝るの?」

「私か?アリシアの隣で、と言いたいところだが、生憎仕事も溜まっているんでな、隣の部屋で書類と格闘だ。なにかあったら呼んでくれ、私は起きているから」

「仕事が溜まっているって、まさかそっちのけで私のことを?」

「いや、それは関係ない。元々、屋敷の仕事は得意じゃなくてね。いつも後回しにしているもんだから、常に溜まり続けているんだ。いい加減やらないとカストルになに言われるか分からないから。この機会だし、一気に纏めてやろうと思ってね」


なにも心配する必要はない、と付け加え、ランスは私の頭をポンと軽く撫でると、椅子から立ち上がり背を向け、部屋から出ていこうとした。



扉に手を掛けた瞬間にハッと我に返る。



「――待って、ランス!!」
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