ミツバチジュエル


やけくそで叫ぶようにプロポーズされた、ということはよく解った。

でも私、くどいようだけどまだ勤務中なのですが。

お店のお客様も、同僚も、ショッピングセンター内で店先を通りかかった人もみんな、私達の一挙手一投足に注目している。

店長までニヤニヤしてこっちを見ていたとは。

仕方がない、サービス精神と愛社精神を今ここで!


「解りました。ただし、条件があります。婚約指輪も、結婚指輪も、ベビーリングも、スイートテンダイヤモンドも、全部こちらのお店でご購入をお願いします。もちろん、幸せもお約束頂けますよね?」

「当然。で、どれがいいんだ、咲?」


一瞬の間もなく、貴斗は即答した。さすが、常に一分一秒を争う現場で働く男、なんて。

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