恋の契約は永遠に
「心配させてごめん。あんな状態で不安にさせて悩ませてしまって……」
「私こそごめんなさい。裏切られたんじゃないかと思うと、過去の嫌な記憶すら蘇ってしまって、会社を辞めようかって本気で考えてた」
すると一郎は私を抱きしめた。
「やっと麻耶を抱きしめられた。不安にさせてごめんな」
私は安心して泣いてしまった。
暫く抱き合っていると一郎が言った。
「麻耶、誕生日おめでとう」
「えっ、何で誕生日知ってるの?」
「前に履歴書見たときメモしといたから」
「バカっ」
すると一郎は真面目な顔をして話しだした。
「俺は、麻耶に初めてあった日、一目惚れだった。恋をしたのは何年ぶりかで、仕事ばっかりだったけど、麻耶に会えると元気がでて、麻耶に会いたくて、気づけば好きから愛してるにかわっていた。麻耶の笑顔をこの先もずっと見ていたいんだ。麻耶は派遣社員でいつも契約がある仕事だったけど、俺との恋の契約は永遠に続けてほしい」
そして一郎はスーツの内ポケットから指輪を取り出して私の左手の薬指に嵌める。
「麻耶さん、僕と結婚してくれませんか?」
私は驚いて一郎の顔を見つめる。
「返事は?」
「はい」
「もう麻耶を離したくないし離さない」
そう言って私の唇は一郎に塞がれ、優しく抱きしめる。
いつまでもこの幸せが続きますようにーーー
【完】