ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
それから1年後ーーー・・・

美桜は卵巣癌を患った。発覚した時には手遅れで子宮や肺に転移していた。


長くても半年ーーー・・・

それが彼女の残された時間。


俺は彼女に病名は隠していたが、片時も離れず自分に付き添う俺を不審に思ったようだ。

「壱真、私の本当の病気を教えて・・・」

「子宮筋腫だって言ってるだろ?」

俺は懸命に誤魔化した。

「じゃどうして髪の毛が沢山抜けるの??私の受けている治療は何なの?本当のコトを教えて…壱真」

彼女の自慢だったサラサラした長い髪の毛は抗がん剤治療の影響でパラパラと抜け落ち始めていた。

「・・・癌だ…卵巣癌だ・・・」

俺は彼女の執拗な訴えに根負けして真実を告げた。


「・・・私…壱真の赤ちゃん産めないの?」
失意に満ちた瞳から零れ落ちる涙。俺も貰い泣きしそうだった。
でも、ここで俺泣いてはダメだ。俺は涙を堪える。

新たな命を生み出す所か、美桜の命は期限付き。


「赤ちゃんのコトよりも治すコトを考えよう。俺が付いてるから…なっ、美桜」










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