わたしのいちばんすきなひと。
「莉子家どこ?」
駅を少し出たところで翔くんが口を開いた。
久しぶりに呼ばれた名前。少しドキッとした。
「えっと…桜ヶ丘なんだけど…」
桜ヶ丘とはわたしの住んでいるアパート周辺地域名。
ここの駅からは歩いて大体15分、20分程度だ。
「そっか。じゃあ俺の住んでるアパートと近いかもな。」
「一人暮らしなの?翔くん」
「まあな。莉子も?」
「うん。」
その会話の後はお互い何も話さず
ただ時間が過ぎていくだけだった。
何を話せばいいのかも分からず
今隣で翔くんが歩いていることが未だに信じられない自分がいた。