私魔法使いらしいので異世界救ってきます
「なっ、な……」



「さて、取引といきましょう」



「い、命だけは!!何でもする!!国でもなんでもやるから!!命だけは助けてくれ!!」



まさかあっさり国民を売るなんてね。


最低。



「あんたみたいなクズが治める国が魔族軍に勝てるわけないわな。今からこの国の王はお前じゃない。この俺だ」



「わ、分かった……命は助けてくれるんだな?」



「そうだな。ただし、この書類にサインしてからだ」



「……貸せ」



一切読みもせずサインして家族揃って逃げ出した。


こんなに呆気なく終わるなんて思ってもいなかった。



「ていうかいつそんなの作ってたの?」



「昨日。これにサインしたら、ここに書いてあることは何が何でも守らないといけないんだ。お前も読んでみ?」



そこに書いてあることはまさに残虐非道。


必要最低限以上のお金を持つことは許さないし、王都の半径100km以内に入ることも禁止。


他にもたくさんの禁止事項が書いてあった。



「紫苑って本当に人間なの?」



「人間じゃなきゃ何だってんだよ。それよりとっとと国民に知らせるぞ。官僚みたいなやつはいないのか?」



「わ、私がそうですが」



何処からかひっそりと現れたのはスーツをビシッと決めた高身長イケメン。


かなり仕事が出来そうである。


断言出来る。前国王よりこの人の方が仕事してる。



「あぁ、今から王都にいる国民に知らせるから準備」



「は、はい!」



そう頼んでから10分程で準備が整った。


国王がだらしない分部下はしっかりしているようだ。

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