京都チョコレート協奏曲
「知らない単語はスルーして、何となくのニュアンスで意訳すればいいんだよ。下線が引かれるのは、その直前の段落までのまとめの一文であることが多い。全体的な内容がつかめていれば、1つ2つ知らない単語があっても、訳文に大きなミスが出ることはない」
「こんな量の長文、全部読んどったら、時間が足りひんくなる」
「全部読めるように、スピードを付ける必要があるね。英語の歌を覚えるとか、洋画のワンシーンの台詞を丸暗記するとかでも、英語を読む速さは身に付くから、やってみたら? 大事なのは、声に出して体で覚えることだよ」
「んー、やってみる。またわからへんところがあったら、スマホ使って訊いてもええ?」
「いつでもどうぞ」
有言実行で形から入るタイプの花乃ちゃんのことだ。
きっと来週には、部屋に新しいCDが増えているに違いない。