京都チョコレート協奏曲
「そんなふうにさりげなく助けてもらったら、女の子としてはたまらないだろうね。しかも、いちくんは文武両道のクールなイケメンで、中学高校では生徒会活動もやってたような責任感のあるタイプ。優良物件すぎるって」
「せ、生徒会は、頼まれて断れなかっただけで……総司《そうじ》と違って、オレは別にモテない」
いちくんの視線は、おれのカバンのそばにある大きな紙袋に向けられた。
今日はバレンタインデーだ。
研究室で渡されたり図書館に呼び出されたり、なかなか忙しい1日だった。
チョコだけはありがたく頂戴して、気持ちは受け取らなかったけど。
「今年は店で買ったやつばっかりだったよ。おれの好みを突いてくれてはいる。柳馬場三条のマリベルとか、宇治の伊藤久右衛門とか、百万遍の緑寿庵清水とかのバレンタイン限定品で、けっこう並ばないと買えないんだ。いちくんは今年も鉄壁ガード?」