苦手なあの人
……はぁーっ。
どうしよう。

「ん?どうかしたのか?」

ため息をついた私に気が付いたのか、寺崎さんが顔を上げた。
ほかの子だったら
「はい、ここがわかんないんですぅ」
って目がハートになるとこなんだろうけど、私の場合。

「な、なんでもない、です」

寺崎さんに聞くなんて無理。
だって。

「なんでもないわけないだろ?
さっきから手、止まってるし。
大きなため息だって」

にっこりと笑う、レンズの向こうの瞳。
僅かに上がった口端。

作ってるようなその笑顔はやっぱり苦手。

「だ、大丈夫ですから」

視線を画面に戻してみたところでなにも解決しない。

ハナちゃん先輩にメッセ送って聞いてみようかな。
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