無理すんなよ。
中学校のときも何回かこんなことはあった。遥の姉兄である私に、気持ちを伝える橋渡しのような役割を頼まれることもあった。
呼び出したり、時間をわざと合わせたり、いろいろな方法でみんな告白してたけど。
「……受け取れないです」
遥は、告白にOKはしない。
好きという感情がわからないらしいけど、それ以前に自分から気持ちを伝えない人に興味はわかないそうだ。
私も生まれてから今まで恋なんてしたことがないから、口出しもアドバイスもできる立場ではない。
それでも。
「直接言わないと伝わらないこともあるんです。少なくとも、遥はそれを望んでます。だから……」
「────琴葉ちゃん!」
フワリ。風が舞って、木々がそよぐ。
琴葉ちゃん、なんて近所に住んでるおばさん達にしか呼ばれたことがない。
だって今まで私には友達と呼べる存在がいなかったから。