無理すんなよ。
「そっか、頑張ってね」
「おう。琴葉もな」
私が軽く返した言葉に、桜庭くんは正面から向き合ってくれる。その何気なさに、なぜか胸が熱くなるの。
「じゃ、そろそろクラス戻るわ」
「うん、またね」
桜庭くんは、たくさん話しかけてくれる。話題を引っ張ってきてくれるのも、相槌を打ってくれるのも、彼。
私は自分から何もできてない。だから、好まじゃ桜庭くんに嫌われちゃうかもしれない……。
もっと会話上手になりたいな。心の中でふとそんな感情が浮かんだ。
そのまま桜庭くんの行った方向に目をやると、そこには桜庭くんと一緒に……遥がいた。
……なんだ、ふたりとも仲が悪くなったわけじゃないんだ。良かった、って思う反面、少し複雑でもある。