大好きなきみへ、あの約束をもう一度



「湊さ、プールの授業一回も出てなくね?」



そう言って少ししっとりとした髪をかきあげる海斗。

その仕草に、いちいち心臓が騒いで困る。



「あぁ……うん、そうだね……体調、悪くて」



胸のドキドキを悟られないようにと、また無意識に髪を耳にかけながら、なんとなか返事を返した。



これまでにプールの授業は何回かあったし……。

その度に見学してるから、毎回見学してる私の事、気になるよね。



「本当にか〜?実は、泳げないんだろ、湊」


突然、何を勘違いしたのか、ニヤニヤして私を見る海斗。


「あのねぇ……違うってば」


「へぇー、でも湊、髪触ってるし、嘘だな。なんなら、俺が泳ぎ、教えてやろっか?」


「こ、これはっ」


もう、人の気も知らないで……。

別に、泳げないわけじゃないし。

ただ……怖いだけだ、あの日を思い出すことが。



「だから、違うって言って……」


「んじゃ、夏休み俺と海にいかね?」


「どこが、"じゃあ"なの?」



明らか誘い方が不自然だから!

海斗は、話が滅裂すぎるよっ。


海斗、私なんかより男子達とか、もっとイケてる女子のグループの子たちと行けばいいのに。


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