エリート外科医の一途な求愛
私と一緒にお昼に行っていた千佳さんも、他の研修医たちに合流して病院に戻って行った。
美奈ちゃんは『備品取りに行ってきま~す』と、台車を押して出て行く。
教授室には教授がいるんだろうけど、医局に残ったのは私と各務先生の二人だけ。
二人きりを意識して胸がドキッと跳ねるのを自覚しながらも、午前中に受けた数々の依頼のお伺いを立てるチャンスだ。
私は手帳を握り締めて、椅子の背もたれに大きくふんぞり返っている彼に歩み寄る。
「あの、先生」
各務先生が、午前中の私と同じように、逆さまの視界で『ん?』と私に瞳の焦点を合わせた。
「お疲れのところすみません。またいくつか先生にお仕事のご依頼が来てて」
私の事務的な言葉を聞いてわずかに苦笑をすると、彼はしっかり姿勢を元に戻し、椅子をクルッと回転させた。
長い足を組み上げ、胸の前で腕組みをして、私を真正面から見上げてくる。
「全部断るってわけにもいかないんだろうけど、かと言って全部は受けられないね」
「ですよね……。なので、先生の方でチョイスしてもらえれば、私、スケジュール組み直します」
そう前置いて私が口上した依頼内容を、各務先生はデスクの卓上カレンダーを捲りながら聞いている。
美奈ちゃんは『備品取りに行ってきま~す』と、台車を押して出て行く。
教授室には教授がいるんだろうけど、医局に残ったのは私と各務先生の二人だけ。
二人きりを意識して胸がドキッと跳ねるのを自覚しながらも、午前中に受けた数々の依頼のお伺いを立てるチャンスだ。
私は手帳を握り締めて、椅子の背もたれに大きくふんぞり返っている彼に歩み寄る。
「あの、先生」
各務先生が、午前中の私と同じように、逆さまの視界で『ん?』と私に瞳の焦点を合わせた。
「お疲れのところすみません。またいくつか先生にお仕事のご依頼が来てて」
私の事務的な言葉を聞いてわずかに苦笑をすると、彼はしっかり姿勢を元に戻し、椅子をクルッと回転させた。
長い足を組み上げ、胸の前で腕組みをして、私を真正面から見上げてくる。
「全部断るってわけにもいかないんだろうけど、かと言って全部は受けられないね」
「ですよね……。なので、先生の方でチョイスしてもらえれば、私、スケジュール組み直します」
そう前置いて私が口上した依頼内容を、各務先生はデスクの卓上カレンダーを捲りながら聞いている。