エリート外科医の一途な求愛
「あ、あの夏場に撮った……?」


私の質問に、彼は『うん』と頷いた。


「これ届いて、なんとなくレイとも話をしてさ。そしたら……明日、休暇にしてくれたんだよね」

「え?」

「『ハヅキと一晩中ゆっくり観ろよ』って。まあ、本気で一晩中これ観ろって意味じゃないと思うけど」


視線を私から逃がして、颯斗はシレッと呟く。
彼が私の思考を導いた向きに気づいて、カッと頬を赤らめた途端。


「葉月」


颯斗が私をそおっと抱き締めた。
彼の胸に顔を埋めて、反射的に私は息をのむ。


「一ヵ月のお祝い、ありがとう。俺が忘れててごめん」

「……うん」


短く頷きながら、私を抱き締める腕にそっと手を掛けた。
そんな私に、『でもさ』と颯斗が言葉を続ける。


「俺は、一ヵ月だから特別とか思ってない。……と言うより、正直なところ、俺には毎日がスペシャルで……」

「え?」


耳元で聞き取り辛く消え入っていく声を追って、私は彼の胸からそっと顔を上げた。
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