エリート外科医の一途な求愛
言われた言葉も軽く鳥肌物だったけど、それより先に怪訝な気持ちになる。
彼女の言葉に反応したのは早苗も一緒だった。


「葉月のワンピース？　って、あんまり着て来たの見たことないけど？」


早苗が目線を上向けて記憶を探るように呟く。
もちろん私も首を傾げた。


「医局にはあまり着て来ないけどな。学会の時もスーツだし……」

「そう言われてみれば。どっかで見掛けたんですかね」


スプーンを口に運び、ちょっとハフハフしながら、美奈ちゃんも軽い調子でそう言った。
それはそれで嫌だけど……と思いながら、私も気にせず蕎麦を啜る。


「まあ、その木山先生にも絶賛されるくらいスタイルのいい葉月に、ちょっと申し訳ないんだけどさあ」


何か思い出したようにそう声を掛けてくる早苗に、私は目線だけ上げて先を促した。


「うちの医局の坂上先生、知ってる？」


箸先を口に咥えながら、私は自分の記憶を探して顔を思い浮かべてみようとした。
そして、結局諦める。


「ごめん。多分知らない」

「あ～知らなくて当然だとは思う。だって正直、この間の合コンの時、葉月が唯一連絡先交換したずんぐりむっくりよりちょっとマシ、くらいな人だから」


早苗の説明を聞いて、美奈ちゃんがブブッと吹き出した。
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