暗黒王子と危ない夜
「りょうかーい。……あ、でも俺コーラ切れたから買い出しに行きたいんだけど」
するとすかさず、周りにいた人たちから「琉生君!俺が行きます……!」と次々に手が挙がる。
どうやら、ここでは中島くんも凄い人らしい。
「いや、いーよ。なんか歩きたい気分だし。
相沢さんも来る?」
「あ、じゃあ、はい──」
あたしの反射的な返事と
「やめた方がいい」
本多くんの声が重なった。
「ここ、黒蘭の倉庫からもそう遠くないし」
「……まあ、確かに。だったら俺が帰ってくるまで椎葉のところにいな?」
会話に流されるまま、あたしはうなずく。
「あっ。でも、バイクなんか見ててもつまんないだろうなー。 本多、部屋に入れてやったら?」
なんて、突拍子もないことを言い出した中島くん。
「おれの部屋? 別にいいけど、」
あっさり、そう口にした本多くん。
心臓がどきりと跳ねた。