暗黒王子と危ない夜

本多くんが旗を返すと、皆は一斉に作業に取りかかり始めた。

広げられた旗は思っていたより大きく、真ん中には「青藍」と白文字の刺繍が施されていた。



「七瀬君、これ特攻のとき持っていってもいいっすかね?!」


興奮したように誰かが声を上げる。


「うん。てその為にオーダーしたんでしょ?」


本多くんの許可をもらって、そこにいたメンバーたちは嬉しそうな顔で笑い合う。

本多くん自身も柔らかい表情をしていて、楽しんでいるように見えた。


やがて旗が綺麗に取り付けられると、満足したように背を向けて。本多くんは、階段に足をかける。
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