暗黒王子と危ない夜
疑惑
「ほらよ、さっきの現文」
教室にもどると、三成がルーズリーフを1枚手渡してきた。
「板書写してくれたの?」
「字は汚ねぇけど許せな」
「ありがとう。すごい助かる」
書かれている字は確かに上手とは言えないけど、余白の作りや色分けが丁寧ですごく見やすかった。
これは勉強ができる人のノートのとり方だとひと目で分かる。
「つーか七瀬は? 一緒だったんじゃねえのか」
「……あ、本多くんは、急用ができたとかで早退するって」
「はあ?」
──そう。
あのあと、しばらくふたりで話していたら本多くんのスマホが鳴って。
聞こえてきた声や話し方から相手は慶一郎さんだと分かった。
「あいつ単位大丈夫かよ……」
やれやれと頭を抱える三成。
「本多くん、授業出ないこと多いよね。三成もだけど……」
「俺はテストで点数取れるからいいとして、あいつの成績だとやべぇぞ多分」