暗黒王子と危ない夜

同じ学校に通う、同い年の男の子なのに、どうしてここまで違うんだろう。

なんて孤独な生き方をしているんだろう。

本多くんの言葉があたしの中で広がって、焼けるような痛みに変わっていく。


「あたしは……本多くんに危ない目に遭ってほしくなくて」

「……うん」

「死ぬかもしれないなんて簡単に言ってほしくない」

「……うん」



ひとつひとつ、受け止めるように返事をくれる。

それだけで、抑えていた気持ちが全部溢れ出してしまいそうになる。



「本多くんは守らなきゃないらないものが、たくさんあるかもしれない。でも、それで本多くんが苦しむのは、あたしが嫌で……」

「……うん」

「危ないことしないでとは……言えないけど、ワガママだけど、本多くんが離れていっちゃうのは嫌で……いなく、ならないでほしい。……絶対、死なないで」



最後に本心がこぼれてしまった。

こんな……告白まがいの言葉。

ドクリ、心臓が脈打つのを聞いた。



「うん。死なない」


伸びてきた左手が、あたしの頭を一度だけ撫でる。



「死なないよ。おれの命は一つだから」


─ “ 大事にする。“


本多くんの声を届けるように

風がやさしく吹き抜けた。
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