暗黒王子と危ない夜
銃声
◆
◆
「何だよ今の音」
ちょうど、黒蘭の本部の、裏口にたどり着いた時だった。
エンジンを切り、ヘルメットをはずした藤本くんが、音のした方向に視線を向けた。
あたしも聞こえた。
短い破裂音のような……。
「……中で何が起こってんだ?」
三成が呆然とした表情で黒蘭の建物を見上げる。
それからすぐにバイクを降りた。
「七瀬が危ねーな」
と、小さく呟く。
「みっちゃん、どういうこと」
藤本くんのバイクの後ろに乗っていた山下くんが不安そうな声をあげる。
三成は答えない。
「藤本は俺についてこい。山下は、萌葉とここで待ってろ」
えっ?
声を上げてしまう。
「おい待てよ。抗争が起きるのは夜だから、まずは様子見るだけってお前言ってたよな」
藤本くんの声も無視して三成は歩きだした。
「見てみろよ、外に見張りが一人もいねえ。こんなこと普通はありえねーんだよ。つまり、中で、普通じゃねぇことが起こってるってことだ」
その言葉に体がすうっと冷えた。
山下くんが無言でバイクを降り、あたしの隣に立つ。藤本くんは三成のあとに続いた。
普通じゃないこと。
本多くんが、危ないかもしれない……?
ふたりの背中が黒蘭の中へ消えたあとで我にかえる。
無意識に駆け出そうとしたあたしの肩を、山下くんが掴んだ。
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「何だよ今の音」
ちょうど、黒蘭の本部の、裏口にたどり着いた時だった。
エンジンを切り、ヘルメットをはずした藤本くんが、音のした方向に視線を向けた。
あたしも聞こえた。
短い破裂音のような……。
「……中で何が起こってんだ?」
三成が呆然とした表情で黒蘭の建物を見上げる。
それからすぐにバイクを降りた。
「七瀬が危ねーな」
と、小さく呟く。
「みっちゃん、どういうこと」
藤本くんのバイクの後ろに乗っていた山下くんが不安そうな声をあげる。
三成は答えない。
「藤本は俺についてこい。山下は、萌葉とここで待ってろ」
えっ?
声を上げてしまう。
「おい待てよ。抗争が起きるのは夜だから、まずは様子見るだけってお前言ってたよな」
藤本くんの声も無視して三成は歩きだした。
「見てみろよ、外に見張りが一人もいねえ。こんなこと普通はありえねーんだよ。つまり、中で、普通じゃねぇことが起こってるってことだ」
その言葉に体がすうっと冷えた。
山下くんが無言でバイクを降り、あたしの隣に立つ。藤本くんは三成のあとに続いた。
普通じゃないこと。
本多くんが、危ないかもしれない……?
ふたりの背中が黒蘭の中へ消えたあとで我にかえる。
無意識に駆け出そうとしたあたしの肩を、山下くんが掴んだ。