コンパスと鍵と真紀子さん



A組の亜樹ちゃんにバイバイをして、私は隣の隣のクラスへ廊下をゆっくりと歩き出す。




廊下の窓から見える景色はいつも、季節をリアルに感じさせる。


下に見える中庭の茂みは真緑に光り、
倒れかかっている細い木は、それでも芽吹いている。
上には、枠のない青い世界が広がる。
旅先のオーストラリアで見たような近すぎる青さが、無性に怖い。





クラスに入ると、そこには2人しかいなかった。


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