コンパスと鍵と真紀子さん


人数から割り出される密度からしては閑散としているはずの教室だけれど、生温い空気が教室を違う意味で緩やかにしている。


運動部の朝練に行った名残があちこちの机の上に広がっていた。



朝からガリガリと勉強している遠藤さんと、

紺ちゃんが居た。





「実琴、おはよう。」






紺ちゃんに名前を呼ばれるといつもドキっとする。


学校で私の名前をそのまま言うのは、紺ちゃんだけかもしれない。



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