コンパスと鍵と真紀子さん



「白峰先生、植野です。」













とても静かだった。



この小さな部屋には私と初老の担任の2人きり。


程よい人口密度。
年代ものの机とイスと。







「…ぁあ。」



小さい小さいしわがれ声が、私の耳に届いた。






それでも白ちゃんは、なかなか顔を上げなかった。




泣いているんだ。



泣いているんだ、白ちゃんが。


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