【BL】夕焼け色と君。
3
「………珠時、俺はもう死ぬのかもしれない。」
「はいはい、大丈夫。そういう奴ってしぶとく生きるから。」
冷たい珠時の言葉に俺は机に突っ伏した。
まだ学生達で賑わっている昼の食堂。
「そんな冷たいこと言うなよー。」
「ああ、もう!鬱陶しいな!だったら、何でそんな状態になってるのか言ってみろよ!」
「うっ……それは、その………」
「ほらな!言えないならウジウジすんな!」
そんな事言われても………。
日椎の顔見るとドキドキして困ってるだなんて……
口が裂けても言えない。
日椎と出掛けてから二週間。
実はあれから何となく日椎を避けている。
どういうわけか俺の心臓は日椎を見ると鼓動を早める。
ドキドキして、そわそわする。
でも本当は顔が見たい。話がしたい。
近くでまた、笑ってほしい。
「ハァ…………こりゃ病気だ。俺はもうだめなんだ。」
「はいはい。」
珠時の呆れた声に俺が突っ伏した机から顔を上げた瞬間、ドンッと音を立てて視界が遮られた。
机に置かれた手。恐る恐る腕を伝い視線を上にあげていく。
ああ、やっぱり。
頭上には今は会いたくない、少し不機嫌な顔。
「………どーも。」
「………ど、どーも、日椎さん。何かご用でしょうか?」
「……話がある。」
ぐいっと腕を掴まれて、強引に椅子から立ち上がらせられた。
「ちょっ、まって、まだ」
手を引かれたままの状態で食堂の出口に向かい始めてしまったので、慌てて身を引こうとするも腕を掴む力の方が強く、体は引き摺られていく。
「ひ、日椎、待って!まだトレーとか片付けてないんだって。」
抗議の声に日椎はチラッと後ろを見て、座ったままの珠時に声をかけた。
「……それ、お願いできる?」
「いいよー。」
た、珠時〜ぃ、空気読めよ……。
そこは嫌がって引き留めるところだろ!
「よろしく。これで、文句ないだろ?」
有無を言わさぬ口調に俺は押し黙った。
大人しく、ついていこう………。
背中に突き刺さってくる周囲の視線。
ただでさえ日椎は目立つ。
それなのにこんな行動取ったら、周りが興味を示して当然だ。
恥ずかしすぎる……
穴があったら入りたいってこう言う心境を言うんだな……。
と、しみじみ感じた。