完璧なる後転

「手なんだよなー」

目の前に座り
ためらいもなく私の手を取る杉田。
意味なくドキドキする私。
でも杉田は無表情。

「手と手首の力が弱いから、ぐにゃっと曲がって身体を支えられず進路も曲がる」

そして自分の両手を開き
パーの状態で胸の前に広げた。

「俺の手をマットだと思って、押してみ」

そう言われ
遠慮なく杉田の手に自分の手を重ね
グッと押すけど……笑われた。

「力を入れろよ」

「入れて押してるし」

「握力とかある?」

「10ぐらいはあると思う」

「美術部だから、筆より重い物持った事ないの?」

「基本持たない。てか、私が美術部って知ってた?」

逆に質問すると
急に手を降ろすもんだから
私は前のめりになって
マットに顔を埋めてしまう。

痛いし……。

「急に手を避けるな!」

怒ってから杉田の胸にグーでパンチ。

あら筋肉?
胸元が堅い。男子だなぁ。

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