完璧なる後転
「めちゃめちゃ緊張した」
杉田はそう言い
大きく息を吐く。
お互い
大の字で横になると
指先が重なった。
「見てた?」
「当たり前だろ」
「朝からスルーしてたから、来ないと思ってたよ」
「そっちがスルーしてた」
「してないもん」
杉田の重なってる指先が
ちょっとだけ動いて
私の手に重なる。
ゴツゴツした
男子の手。
でも嫌じゃない
あったかくて安心できる。
振りほどきもせず
私は体育館の天井を見上げ
色んな音を拾い
目を閉じて杉田に言う。
「合格だったよ」
「知ってる」
「上手にできたよ」
「上手?」
その発音は疑問系?
目をパチリと開き
顔を横にして杉田を見ると
彼は笑ってた。
優しい笑顔だった。