イジワル上司に甘く捕獲されました
小さな灯りをともした寝室。

当たり前だけど潤さんの香りが色濃く漂う。

私を部屋の真ん中にある大きなベッドにそっと下ろして。

「……白い服に白いシーツで、何か美羽、雪みたい。
……とけちゃいそう」

クスッと優しく潤さんは微笑む。

私の真横に横たわる潤さん。

私とコツンと額を合わせて。

まるで壊れ物に触れるかのような手つきで私の髪に触れて。

羽のように軽い触れるだけのキスを唇に落とす。

ピクンっと肩が跳ねる。

「……美羽、可愛い」

……目を開けることすら緊張してしまう私の頬にゆっくり触れて。

私の瞼に鼻に頬に口付けて。

私の身体の上に覆い被さるように。

私を長い腕と足の間に閉じ込める。

「……みう」

甘い甘い蕩けそうな優しい声で私を呼ぶ彼に私は手を伸ばす。

そんな私と手を絡めて。

指の一本、一本に潤さんの綺麗な顔が近付く。

伏せた長い睫毛が震えていて。

ゆっくりと私と視線を合わせる潤さんは、言葉をなくすくらいに妖艶で。

その姿に私の胸がキュウッとなる。

「……そんな顔、しないで
美羽を壊しそうで怖い」

かすれた声で私に懇願する彼の声に、私の心臓はもうパンクしそうで。

「美羽、みう、好きだよ……」

囁くような声で何度も呟く潤さんの言葉に視界が滲む。

「わ、私も……」

好き、が言いたいのに。

きちんともっと上手く伝えたいのに。

舌が頭がきちんと動かなくて。

そう言うだけで精一杯。

そんな自分がもどかしくて。

だけど。

わかっていると言うかのように唇を重ねてくる潤さんに、力がどんどん抜けていく。

「……っ……」

入り込んでくる舌に翻弄されて。

私の身体を這う手を意識して。

触れられた部分がすごく熱くて。

呼吸が苦しくなる。

口で息をしようとすると、すぐに塞がれる彼の甘い唇と。

私にのしかかる彼の重みがこれを夢ではないと実感させる。

そんな夢心地の状態だけど、私の身体はきちんと彼を受け入れることを願って。

「美羽、好きだよ……。
やっと……触れられた」

その言葉に、その手に、その唇に。

私は心も身体も丸ごと彼に溺れていった。






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