イジワル上司に甘く捕獲されました
不意に明るくなった視界と。

喉の渇きを感じて。

うっすらと重い瞼を開ける。

……ここ……。

一瞬、訳がわからなくなって。

無理矢理、目を開けると。

飛び込んでくる剥き出しの逞しい男性の胸。

「……!」

そうだ、思い出した、私……昨日……潤さんと。

昨夜のことを一人思い出して火照る頬。

……だけどそれはとても幸せな時間で。

そっと視線を上に滑らせると。

思わず見惚れてしまうくらいの寝顔の潤さん。

寝ている時は皆、無防備だろうけれど、こんなに綺麗な寝顔は反則だ。

伏せた睫毛は、知っていたけれど羨ましくなるくらいに長くて。

薄く開いた唇は色気があって。

私の身体を抱き締めている腕は、あんなに細身なのにとてもガッシリしている。

彼の体温を感じて。

ブワッと今更ながらに恥ずかしくなって。

ソロソロと毛布の下の自分の身体を見るとやっぱり何も身に付けていなくて。

更に真っ赤になる。

キャーっと嬉しくて恥ずかしくて、胸がいっぱいで叫びたい気持ちになって。

思わず顔を覆った私は指に違和感を感じる。

「……え?」

左手を顔から外してマジマジと見ると。

……左手の薬指に輝く銀色の指輪。

細いクロスのデザインで小さなダイヤモンドが片側だけ上品に散りばめられていて。

「えっエェッ!」

思わず大声をあげてしまう。

これって……!
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