イジワル上司に甘く捕獲されました
私の怪訝な表情に気付いたのか、瀬尾さんがチラリと私を見て、溜め息を吐いた。

「……橘の予想通り、桔梗は俺と同じマンションだよ」

「え?何?
何でわかったの、美羽ちゃん?」

意味がわからない、という表情の桔梗さんに。

「いいから、行くぞ」

「えっ、俺、美羽ちゃんと支店に……」

瀬尾さんに追い立てられる桔梗さん。

私は何だかおかしくなってしまって、一人クスクス笑ってしまった。

それから無事に自席に戻ると藤井さんが戻ってきていた。

「あ、橘さん、お帰りなさい。
面談どうだった?」

優しく話しかけてくれる藤井さん。

「何だか緊張しました……」

色々な気持ちをひっくるめて話すと、藤井さんはフフッと笑った。

「瀬尾さん、美形だもんね。
そう思わなかった?」

「……はあ、でも桔梗さんも美形、ですよね」

机の上のパソコンを起動させながらチラリと藤井さんを見ると。

「あー……まぁね。
って、えっ、橘さん、まさか桔梗さんに興味があるの?」

ワントーン高い声の藤井さんに驚かれてしまった。

「いえっ、全然ですっ。
全く違います、誤解です!」

ブンブンっと首を横に振る。

「そんな全力で否定しなくても……」

クスッと笑う藤井さん。






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