−空の記憶−



数日後。

リズが部屋に引き籠もっていると先生が尋ねてきた。

初めての事で多少驚いたが、これも先生の仕事なのですぐに部屋に入れた。

記憶喪失症候群で末期を迎えた家族のケア。

先生はこの仕事も得意だった。

「やぁ、リズ。」

「どうも。」

「あぁあ、すっかりやつれちゃってまぁ。」

先生は苦笑いで言った。
前に出された紅茶を少し飲んだ。



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