−空の記憶−
リズはソラの家の隣に行くのも習慣だった。
「先生。」
「お、リズ。今日も来たね。」
先生と呼ばれた男は眼鏡を掛け直し、にっこり笑った。
「うん。ソラは?」
「……頑張ってるよ。」
先生の表情が微かに曇った。
先生はソラの病気を研究している第一人者なのだ。
「何が頑張ってるの?」
「うわっ!ソラっ!」
ドアの隙間からソラが顔を覗かせた。
リズは何とか誤魔化した。
「何でもないよ!」
「……ふぅん。」
ソラの表情が一瞬曇った事をリズは気付かない。