断罪アリス


「俺を殺してもらっても構いません。でも、アリスさん、何で震えてるんですか?」




「……っ」




俺の指摘に、彼女は肩を揺らした。




俺を殺すと言っているのに、彼女の握るハサミの先が震えている。




何の迷いもないなら俺を殺すのに、震える必要はない。




「アリスさん、貴女は優しい人ですね」



「は?」




「貴女は優しいから俺を殺すのを躊躇っているんですよね?」




俺はハサミを掴むとあいたもう片方の手で、動揺するアリスさんの手をハサミから離させる。



でも、ハサミはすぐに奪われ、また俺に向けられた。




「私は優しくなんか無い!何で…… 、何で和真と同じ事を言うの!?」




アリスさんの婚約者さんも同じ事を言っていたのか……。




彼女を愛し、彼女から愛された人が言った言葉と同じなら俺が思っていることは間違いではないようだ。




アリスさんはハサミを更に近付けながら両目いっぱいに涙を溜めて、俺を睨んできた。






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