断罪アリス


「そんなはったり信じるかよ!」





すると、アリスさんと話していた男子学生とは別の男子学生が俺の方に突っ込んできた。




俺というよりも柳にだ。





「柳、逃げろ!俺は良いから!」





女の子が男の突進を受け止められる訳がない。





退けるように言っても、柳は退けなかった。





「邪魔だー!」




男子学生は大きく拳を振り上げて、柳に向けて振り下ろした。





「──もういいよ、知栄」




アリスさんが柳の名前を呼んだかと思うと、柳は男子学生の拳を手のひらで止めた。





そして、男子学生の拳を掴んだまま身体を捻ると、そのまま男子学生を地面へと押さえ込んだ。




その一瞬の光景に周りは静寂に包まれる。





「柳……?」




目の前の柳はいつもののんびりした彼女ではなかった。





殺気に満ちた顔──。





「無礼者が。アリス様に何て言う口の聞き方だ」





アリスさんを様付けで呼んで、殺気立つ姿は風間さん達と同じ雰囲気を感じた。






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