断罪アリス


俺はアリスさんと和泉に応急処置を受けながら中にいる≪僕≫と会話する。




別に苦しくなんかない。





『いや、苦しいんだろう?自分のせいで幼なじみが死んだ。それなのに、自分はなんとも思わない』




っ!?




『今までだったら悲しかったのにな。良いか、お前は≪僕≫だ。本質は残忍な殺人鬼なんだよ』




うるさい、黙ってろよ。




『そうやって、誤魔化し続けるのか?否定しても誤魔化してもお前は≪僕≫、≪僕≫はお前だ』




……黙れよ。そんなこと分かってるんだよ、もう……。




──!




俺はもう俺じゃなくなってきてるって自分でも分かってる。




でも、 分かりたくないんだよ。俺は俺でありたいんだよ……。




その言葉を語りかけると、意識が遠退いていくのを感じた。




アリスさん達が俺を呼んでる気がした。




でも──。




『交代だよ、天河』




はっきり聞こえたのは≪僕≫の声で、俺は意識が遠退いていくことに逆らうことなく目を閉じた。





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