断罪アリス
「……天河、お前誰かと話してたか?」
ふと、羽取さん鋭い目が俺を捕らえた。
「え?」
「リビングに微かに血の匂いがする。……この匂いは朱鷺か?」
「……犬並の嗅覚ですね、羽取さん」
隠しきれないと思い、俺は羽取さんにだけ風間さんが此処に現れたことを話した。
話を聞いた羽取さんは苛立ったように、髪をかきむしった。
「……あの馬鹿、一人で何してやがんだよ……っ」
彼には風間さんがしようとしていることが分かっているらしい。
「羽取さん、風間さんは一体何を──」
「言えねぇよ。でも、言えることはアイツは馬鹿だってことだ」
羽取さんは深く息を吐くと、「寝る」と言ってリビングから出ていってしまった。
意味が分からない。
でも、何か嫌な予感しかしない。
俺は風間さんが出て行った窓を閉めようとして、窓の入り口に落ちていたモノに目を見開く。
「風間さん……」
落ちていたそれを指で拭い取ると、グッと拳を握った。
窓の入り口に落ちていたのは乾ききっていない血だった──。