断罪アリス


俺が俺で生まれなかったら、こんなにたくさんの人に出会えなかった。




俺を守ってくれたり、愛してくれる人に出会えなかった。




死んでも笑ってほしいと思えるような人に出会えなかった。





俺が小鳥遊天河として生まれなかったら、出会えなかった……。





「何……最期みたいなこと言ってんの……?コトリ君は……天河は死なない!私が死なせない……っ」




また俺の頬に涙が落ちてきた。




それに、今……。




「やっと……ちゃんと名前で呼んでくれましたね……」




最期に彼女にちゃんと名前で呼ばれたことが単純に嬉しかった。




と同時に欲が出てきた。




もっと彼女に名前を呼んでほしかった。





出来れば、これからもずっと隣で、笑顔で俺の名前を呼んでほしい。





……あー、何か急に生きていたくなったな。





でも、死は俺を待ってはくれないようだ。





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