Spice‼︎
溺れるサカナ
風間が突然、総務から営業部に異動になって
梨花が一番驚いていた。

ほとんど誰かの推測でしかないが
桐原が社長になる可能性は無いんじゃないかという噂がすぐに拡がった。

土方がその噂を聞いて梨花に言った。

「風間、営業部に戻ったって聞いたか?
しかも突然部長補佐だ。」

「うん。ビックリした。」

「社長は結局、あのバカ息子に泣きつかれて許したんだな。

桐原部長はいずれはあの未熟な息子のブレインをさせられて
一生風間の下で働くことになる。

勿体無い話だよ。

桐原部長が社長になるべきだった。

あの人にはそのくらいの器があるけど
風間みたいなヤツに社長が勤まるのか…
これから先が不安だよ。

専務派からの反対もあるだろうしな。

ま、あの桐原さんが何とかするんだろうけどな。

にしても桐原さんはそれで納得するんだろうか?

お前は嬉しいか?

自分の男が社長になるなんて…

でも…風間との結婚は難しくなったぞ。」

「風間くんが社長になるとしても
まだずっと先の話でしょ?

それに初めから風間くんと結婚するつもりなんて無いよ。

…風間くんとは現にもう別れたんだし…」

「お前は本当にこのままでいいのか?

誰かと幸せになりたいとか思わないのかよ?」

「余計なお世話。

それに1人だってそれなりに幸せだから。」

土方は未だに梨花を諦められなかったが
梨花に酷いことをして、すっかり梨花に嫌われてしまった。

その時、風間から

"今夜、話があります。"

というメールを受け取った。

その話が何かを梨花はわかっている。

そして夜、風間とヒロのバーで待ち合わせた。




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