Spice‼︎
揺れる心
梨花は桐原にとうとう捕まってしまった。

触れられると頑なに拒否していた気持ちは
簡単に壊れてしまう。

「キスだけでこんなに感じてる。」

身体を調べるように触られて
その場所が溢れてくる。

梨花の気持ちとは関係なく
身体は簡単に桐原を受け入れる。

梨花を抱いた後、桐原が

「梨花…。

俺の側に居てくれ。」

そう言い残して部屋を出て行った。

梨花はしばらくそこから出られなかった。

ロッカーに替えの下着を取りに行ってトイレで履き替えて席に戻った。

何となく誰かに気付かれたんじゃないかと
ビクビクして周りを見る。

いつもと何も変わらない風景が梨花をホッとさせた。

カラダにはまだ桐原の余韻が残っている。

梨花は結局その日一日中、その事が頭から離れず
落ち着かなかった。

帰りに桐原からメールが来た。

「今夜いつもの場所で」

行くつもりは無かったが…
昼休みの事を思い出すと桐原に逢いたくなる。

上海へ行くことをきちんと話すべきだと思った。

抱かれたからって気持ちが変わるワケじゃない。

そう言い聞かせて待ち合わせのバーのドアを開けた。

桐原は昼間あんな事をしたのに相変わらず堂々としていた。
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