Spice‼︎
束縛と浮気と本気

風間の部屋に行くのは今の梨花にとって
何となく気持ちが重たかった。

風間のことは好きだし…
今の梨花には風間が必要だけど…
もうすぐ閉店だけど
なぜかすごくこのバーから帰りたくなかった。

「帰りたくないなぁ。」

梨花が言ったこの一言はヒロの心を揺らした。

「梨花が良ければもう少し2人で飲まない?」

「本当?」

風間から何回か電話がかかって来ていたが
梨花は少し飲んで帰るとメッセージを送ってスマートフォンの電源を切った。

「風間くんと上手くいってないの?」

「そういうんじゃないけど…」

「じゃああの人だ。

桐原さんとまだ続けてるの?」

梨花は答えずにグラスの中にあったウォッカを一気に飲み干した。

「大丈夫?結構キツイよ、これ。」

「飲んでも酔えない。」

ヒロはもう一杯グラスにウォッカを継ぎ足してソーダで割った。

「カラダ壊すから少し薄めて飲んで。」

「ヒロくんはどう?

上手くいってる?希さん…元気にしてる?」

ヒロは暫く考えて言葉を選んで話した。

「うん…まぁね。

上手くいってるんだけど…無理してるかな?

俺も希も…思ってた生活とは少し…違ったから。」

「みんな色々あるんだね。」

梨花はそう言ってカウンターに突っ伏して左頬をつける。

「冷たくて気持ちいい。」

ヒロがそれを見て梨花の真似をして右頬を付ける。

「本当だ。気持ちいいね。」

そして梨花と見つめ合うと何となくお互いキスをした。



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