Spice‼︎
「まずかった?」

と梨花が聞くと、風間は苦笑いをしながら首を振った。

「いつかは話す事ですしね。

梨花さんは気にしないで。

気を遣わせてすみません。」

「何か真美ちゃんのこと思い出しちゃった。

熱海旅行が真美ちゃんにバレて大変だったよね?」

風間もそれを考えていた。

大変なのはあの時よりもあの後だった。

父に交際がバレて梨花をすごく傷つけた事を…。

また同じことがあったら梨花はどうなるんだろう?

もう一度あんな惨めな思いを梨花にさせたら
梨花は今度こそ桐原のところに行くのだろうか?

それともまた別の男に助けて貰うんだろうか?

考えれば考えるほど落ち着かなくて
とりあえず梨花のことを南にきちんと話すべきだと思った。

清香に言われる前に…自分の口から言うべきだ。

「梨花さん、悪いんだけど…デートの続きはまたでいいですか?」

「もしかして婚約者の所に行くの?」

「はい。

今、梨花さんのことが父にバレたらまずいと思うんです。

真美ちゃんの時みたいに父の耳に入ったら…間違いなく梨花さんに迷惑がかかります。

それは食い止めないと…」

梨花は風間との間にまた壁を感じる。

もともと風間とは住む世界が違うと何度も思ったのに
離れないのは執着なんだろうか?

「このまま風間くんを縛るつもり?」

ヒロに言われた言葉が梨花の胸を締め付ける。

「わかった。行ってきて。」

梨花は風間を送り出すしかない。

その後ろ姿を見ながら梨花は風間はもう帰って来ないような気がした。


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