Spice‼︎
貴方と過ごす最後の夜は…
風間が多村と経理部長を呼んで
昨晩起こったことを知らせた。

「藤城さんにセクハラした以上、同じ部署で働かせるわけにはいきません。」

多村は俯いたまま、自分の犯した罪の大きさを感じていた。

経理部長は困った顔で何とも歯切れの悪い返事をした。

「藤城さんを動かすわけには行かないだろうか?」

風間はその返事に頭に来て、そして落胆した。

この会社は完全な男社会だ。

女性が働くにはあまりにも環境が悪い。

だから女性社員のほとんどは5年も持たないのだ。

「どうして悪くない藤城さんが動くんですか?
彼女はその被害者ですよ?」

「多村くんはこうして反省してるし…
藤代さんにも非があるんじゃないかと…

彼女は私生活も派手な様だし…

君とも噂になっただろう?」

「経理部長!

僕と藤城さんの事は今は関係ないでしょう?

多村課長がした事は犯罪なんですよ?

許し難い問題だと思いませんか?」

経理部長も事を荒立てたくは無いが
相手は社長の息子の風間だ。

「わかりました。

私の方で人事部長と話して、多村課長には本社から退いてもらう様にします。

多村くん、それで良いですね?」

多村は黙って頷くしかなかった。

その日のうちに多村は川崎の営業所に異動になった。

経理課では異動してきたばかりの多村が突然また異動する事を
色々噂するものが居て、その大半が梨花に手を出したという真実だった。

風間が秘密裏に処理してしたところで
梨花は結局、いつだってスキャンダルに巻き込まれる。


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