Spice‼︎
風間は桐原との関係をやめろとは言わない。

風間も桐原もお互いがこの関係を楽しんでる気がした。

たまに意地悪な事を言って
梨花を困らせるのも一つの楽しみのようだった。

風間は相変わらず茉美には全く興味がなかったが
茉美と会う事が梨花との関係のスパイスだった。

茉美は指一本触れない風間にイライラしていたが、
本部長の娘に簡単に手は出せないと言われて
なんとなく納得するしかない。

そんな時、風間は本部長に呼ばれた。

「ウチの茉美とつきあってるんだって?
結婚する気はあるのか?」

風間はそう聞かれて

「そんなつもりはありません。」

とキッパリと断った。

それが本部長の逆鱗に触れのか
風間は営業部を離れて経営戦略部の企画課に異動になったが
何故か主任の肩書きが付いた。

「茉美ちゃんとの結婚を拒んで
営業部クビになったの?

でもそれで栄転?」

「本部長はそんな小さい人じゃないと思いますよ。

栄転は…優秀だからですかね?」

「しかも経営戦略部って羨ましいよね。

営業部も花形だけど…海外事業部と経営戦略部にはホントに優秀な人が行くもの。」

「知らないんですか?僕は優秀なんですよ。」

風間はからかってるみたいに言葉を濁し、
自分のことはいつも何も言わなかった。

「風間くんより優秀な人、他にいると思うけど…
しかも中途入社でその若さで主任でしょ?

何でかなぁ?」

「失礼ですね。僕は優秀なんです。」

と笑って誤魔化す。

「にしても…茉美ちゃんとの結婚断ってどうするの?」

「別れませんよ。

結婚はしなくても…茉美ちゃんには価値がありますから。」

「価値?」

「茉美ちゃんと居れば梨花さんがヤキモチ妬いてくれますからね。」

「妬いてないから!」

風間は梨花の心を見透かしているようで
梨花は機嫌が悪くなる。

それをなだめるように風間はキスをする。



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